開業歯科医は勤務医時代の年収を下回る。







歯科医師は大学卒業後、歯科医院で何年か勤めた後に独立開業をする事が多い。

以前もこの事を疑問に感じて記事にした事があるが、ほとんどの歯科医師は一般の会社員よりは高いお給料をもらっている。

それなのに、そのお給料を捨ててまで人生の賭けになるだろう「独立開業」をすると言う。

聞けば特に経営の知識もなく、他院にはない特殊な治療方法を持っている訳でもない。

会社員が起業して社長になるのは、それなりに知識や能力を持ち、そう言った素質のあるものがなるし、そうで無ければ成功もしないだろう。

こんな不可解な事をしているがために、歯科医師がワーキングプアーなどと揶揄されてしまうのではないか?

今回は勤務歯科医師が開業して、今と同じお給料を得る事がどの位の数字の感覚を持っていなくてはいけないかという事を、給与例を上げて解説したいと思う。

まず歯科医師が個人開業をして得られる収入は、大体売り上げの20%〜30%くらいの間である。

個人開業で経営者という事になるので、当然常に完全歩合という事になる。

例えば、一つの歯科医院に常勤医として勤めている場合、経験年数や、技術力により差はあるが、月のお給料が60万円くらいであるとしよう。
*30万円くらいの人から、200万円くらいの幅はある。

歯医者さんで仮に保険診療の売り上げをメインとした場合、1日8時間の診察時間で1人当たり30分診療で16人みたとすると、保険診療の1人当たりの売り上げは5000円程なので、8万円/日程の売り上げが予想される。

この8万円から、技工代金・材料代(売り上げの約15-20%)を引いて、そこからテナント代、歯科衛生士や歯科助手の給料、ガス・水道・電気・電話代を支払う。

そうすると、
80000-16000(技工・材料20%の場合)-10000(テナント月30万円の場合)-20000(スタッフ2人の場合)-5000(ガス・水道・電気・電話)=29000円/日
となる。

日給29000円と聞けばかなり良いと思うが、週5で月にすると58万円〜64万円くらいになる。

元々の給料とあまり変わらない様に感じるが、実は違う!

給料はただもらうだけだが、開業に際してはほとんどの人が『借金』をするわけだが、その返済が額にもよるが月におよそ15万円〜50万円(多い人は)はかかる。

これが入ると元の給料を大幅に下回って来る。

さらに、コンピューター管理の月々のサポート代が月に3万円〜とか、ホームページの管理代が月に1万円〜とか、そんなに多く見積もらなくとも月に30万円程度の収入になり、年収300万円代の開業医、いわゆるワーキングプア歯科医師が誕生してしまう訳である。

もっと言えば最初の試算で、1日16人の来院数でそれを毎日続けている訳になるが、実はその方が難しい。

どんな歯科医院でも必ずと言って良いほど、「キャンセル」が発生する。

キャンセルの多い少ないは経営に大きく影響して来る要因の一つでもある。

そして、開業医と勤務医の最も違う点と言えば【ストレス】である。

多くの開業医は歯科治療が仕事の100%を占めていない

と言うよりもそうならざるを得ない。

人の管理から、お金の管理、個人経営であれば1人でやらなくてはならない。

それで収入に繋がらなければついついグチになるだろう。

そしてストレスに繋がり、健康的な人生を送ると言う人としての大命題からもそれて行く…。

他にもまだまだ月々に出て行くお金は、増えていく訳だがこうまでして開業する意味が私にはわからない。

今の(普通よりははるかに高い)給料で、勤めている方がよほど安定的で人生が読めるのではないかと思う。





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